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股関節の痛み

🩺 股関節の疾患について

股関節は、体重を支えながら歩く・立つ・しゃがむなどの動作を行う、下半身の中でもとても重要な関節です。
一方で、加齢や姿勢、運動習慣、外傷などの影響を受けやすく、痛みや動かしにくさを感じることがあります。
また、小児期にも発育や骨の成長に関連した病気がみられます。
ここでは、成人と小児に分けて代表的な股関節の疾患をご紹介します。


🔹 成人の股関節疾患

■ 変形性股関節症

股関節の軟骨がすり減り、関節の形が変形して痛みや動きの制限が出る病気です。
歩き始めや立ち上がり時の痛み、長く歩くと痛みが強くなるなどの症状がみられます。
進行すると、動かす範囲が狭くなり、あぐらや正座が難しくなることもあります。

治療
初期は体重管理・運動療法・鎮痛薬・リハビリなどの保存療法が中心です。
関節への負担を減らすために杖や装具を使うこともあります。
変形が進み、日常生活に支障がある場合には、人工股関節置換術を検討します。


■ 大腿骨頭壊死症

股関節の骨の中にある大腿骨頭(だいたいこっとう)への血流が悪くなり、骨が壊死してしまう病気です。
初期は痛みが軽いこともありますが、進行すると関節の変形や強い痛みを生じます。
原因として、ステロイドの長期使用や大量飲酒などが知られています。

治療
病期や壊死の範囲に応じて治療方針を決定します。
初期は安静や装具療法、骨頭を温存する手術を行うこともあります。
進行例では、人工股関節置換術が有効です。


■ 大腿骨近位部骨折(高齢者の骨折)

転倒などで太ももの付け根(大腿骨の上部)を骨折する病気です。
特に骨粗鬆症を伴う高齢者に多く、寝たきりの原因にもなります。
股関節や太ももに強い痛みがあり、立ち上がれなくなるのが特徴です。

治療
多くの場合は手術(骨接合術または人工骨頭置換術)が必要です。
手術後は早期からリハビリを行い、再び歩けるようにサポートします。
また、骨粗鬆症の治療も併せて行うことが大切です。


■ 関節唇損傷

股関節を支える「関節唇(かんせつしん)」が傷ついた状態です。
スポーツや姿勢のくせ、構造的な異常(寛骨臼形成不全など)が原因になることがあります。
動作時の引っかかり感や痛み、可動域の制限を感じることがあります。

治療
軽症では安静・ストレッチ・リハビリなどの保存療法を行います。
症状が強い場合は、鏡視下手術による修復・切除が行われます。


■ 股関節インピンジメント(FAI:大腿骨寛骨臼インピンジメント)

股関節の骨同士がぶつかることで痛みを起こす病気です。
特に若い世代やスポーツ選手に多く、股関節を深く曲げたときに痛みが出ます。

治療
リハビリで関節にかかる負担を減らします。
骨の形に異常がある場合は、鏡視下手術で骨を整える治療を行うこともあります。


■ 急速破壊型股関節症

比較的短期間(数ヶ月)で急激に関節が破壊され、強い痛みと可動域制限を生じる病気です。
閉経後の女性に多く、明らかな原因がわからないこともあります。

治療
痛みが強く進行が早いため、人工股関節置換術が検討されることが多いです。
早期発見が重要で、レントゲンやMRIでの定期的な評価が役立ちます。


🔹 小児の股関節疾患

■ ペルテス病(大腿骨頭骨軟骨壊死症)

成長期(特に4~8歳頃の男児)に、大腿骨頭への血流が一時的に悪くなり、骨が壊れて変形する病気です。
初期には太ももや膝に痛みが出ることがあり、気づかれにくいこともあります。
進行すると足を引きずる歩行(跛行)や動かしにくさが出てきます。

治療
関節への負担を減らすため、装具や免荷(体重をかけない工夫)を行いながら経過をみます。
重度の場合は、手術で股関節の安定性を改善することもあります。


■ 大腿骨頭すべり症

成長期(10~15歳)の子どもに多く、太ももの骨の上端(骨端線)がずれてしまう病気です。
太ももや膝の痛み、足を引きずるなどの症状で気づかれます。
肥満やホルモン異常などが関係しているといわれています。

治療
進行を防ぐため、早期に手術で骨を固定します。
放置すると股関節が変形してしまうため、早めの診断が重要です。


■ 一過性股関節炎

風邪のあとなどに、股関節に一時的な炎症が起こって痛みや歩行困難を生じる病気です。
発熱を伴うこともありますが、多くは数日~1週間ほどで自然に治ります。

治療
安静と消炎鎮痛薬で経過をみます。
痛みが長引く場合は、ペルテス病など他の病気との鑑別が必要です。


🧭 診断と治療について

当院では、問診・身体所見に加え、レントゲン・超音波・MRIなどを用いて正確に診断します。
股関節の疾患は、早期発見と適切な治療が何より大切です。
年齢や生活背景に応じて、保存療法から手術まで最適な方法をご提案します。

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