肘の痛み
🩺 肘の疾患について
肘関節は、腕の曲げ伸ばしやねじりなど多くの動作に関わる大切な関節です。
スポーツや仕事などで繰り返し使うことが多く、また加齢や外傷の影響を受けやすい部位でもあります。
ここでは、代表的な肘の疾患についてご紹介します。
■ 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
肘の外側にある腱が、使いすぎによって炎症を起こす病気です。
物を持ち上げる・ペットボトルのふたを開ける・タオルをしぼるなどの動作で痛みが出ます。
テニスをしていなくても、日常生活の中で発症することが多いです。
治療:安静・ストレッチ・消炎鎮痛薬・物理療法が基本です。
必要に応じて注射治療や装具(サポーター)を使用します。
再発予防には、前腕の筋力バランスを整えるリハビリも有効です。
■ 上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
肘の内側にある腱が炎症を起こす病気です。
タオルをしぼる、ドアノブを回す、ゴルフのスイングなどで痛みが出ます。
治療:テニス肘と同様に、安静やストレッチ、消炎鎮痛薬を中心に行います。
炎症が強い場合は注射治療を行い、回復期にはリハビリで筋肉の柔軟性を高めていきます。
■ 肘部管症候群
肘の内側を通る「尺骨神経」が圧迫されることで、手の小指や薬指にしびれや力の入りにくさが出る病気です。
進行すると、手の筋肉がやせて細かい動作がしづらくなることもあります。
治療:軽度であれば安静や肘の曲げすぎを避ける工夫で改善することもあります。
しびれや筋力低下が強い場合は、神経の圧迫を取り除く手術を検討します。
■ 肘離断性骨軟骨炎(OCD)
主に成長期のスポーツ少年にみられる疾患で、肘の関節軟骨とその下の骨が繰り返しの負荷で傷つく病気です。
ボールを投げる、体重をかける動作などで痛みが出たり、肘を伸ばしきれなくなります。
治療:早期であれば安静や投球制限などの保存療法で回復が見込めます。
進行すると、骨片が関節内で遊離してしまうことがあり、手術で除去・固定することがあります。
■ 変形性肘関節症
長年の負担や外傷の影響で、肘関節の軟骨がすり減り、痛みや動かしにくさが出る病気です。
進行すると、可動域の制限や「ゴリゴリ」とした動きを感じることがあります。
治療:消炎鎮痛薬・リハビリ・注射などの保存療法を行い、日常生活の負担を軽くします。
進行例では、鏡視下での骨棘(こつきょく)除去や、場合によっては人工関節置換術を検討します。
■ 肘靭帯損傷(内側側副靭帯損傷など)
投球動作や転倒などで、肘の靭帯が伸びたり切れたりする病気です。
特に野球の投手では「内側側副靭帯損傷」が多く、ボールを投げる際の痛みや不安定感がみられます。
治療:軽症例では投球休止とリハビリで回復します。
靭帯の断裂が大きい場合は、靭帯再建術(トミー・ジョン手術)を検討します。
🧭 診断と治療について
当院では、問診や触診に加えて、レントゲンや超音波、必要に応じて他院でのMRI検査を行い、痛みの原因を丁寧に調べます。
治療は、安静・薬物療法・注射・リハビリテーションを中心とし、必要に応じて手術加療も検討します。
患者さま一人ひとりの生活スタイルやスポーツ活動に合わせた治療を提案いたします。
